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一般社団法人 日本菌学会 - The Mycological Society of Japan

採集と標本

菌類に限らず,生物がある時,ある場所に確かに存在していたこと(オカレンス,といいます)を示すためには標本がもっとも重要な証拠になります.観察情報や文献情報などと比較して,標本は物的証拠として,後で再び検討することができ,必要に応じて間違いを正したり,新知見をもとに再検討できるためです.そのためには,標本には必ず,データが伴っていることが必要です.このデータの基本は,「いつ,どこで,何が」が最も重要です.そして,「採集者,同定者,採集法」などの項目がこれについで重要です.どんなに美しく整理された標本であったも,これらの情報を欠けば,標本価値は大きく損なわれてしまいます.採集をするときには,採集データの記録にも十分注意して下さい.なお,採集データについては国際的な標準形式(ダーウィンコアDarwin Core,略してDwC)があります(参考:http://www.gbif.jp/v2/datause/data_format/index.html).ダーウィンコアには非常に多数の項目が含まれていますが,その基本は上で述べたことです.

標本の多くは,自然史系博物館に収められ,管理されています.これらの中には,アマチュアの菌学者(市民科学者)によって採集されたものも少なくありません.これらの人たちの協力は,いまや菌類の多様性解明の上でなくてはならないものになっています.