日時: 2016年4月23日 13:00-19:30
場所: 玉川大学 大学教育棟2014 大講義室(521)
参加人数: 58名
今回の年次大会は、玉川大学で開催されました。駅からすぐにある新しい講義棟の階段教室で、例年どおり年次総会、話題提供講演および一般講演が行われました。
話題提供講演では、中村純先生(玉川大学ミツバチ科学研究センター)に「ミツバチと出会った微胞子虫Nosema spp.」という演題でご講演いただきました。微胞子虫(Microsporidia)は、近年分類体系の再編により原生生物から菌類に位置付けられたものです。
本講演では微胞子虫Nosema属菌がミツバチに寄生するメカニズムについて丁寧に解説していただきました。ミツバチは、世界の農業に大きな貢献をしている花粉媒介昆虫ですが、微胞子虫が感染することによって引き起こされる脅威についての興味深いお話しもいただきました。参加された皆様にとっては、普段とは違った視点から菌類を考えることにより、菌類研究の奥深さや重要さを改めて認識する機会となったのではないかと思います。
一般講演では以下の6題の発表がありました(タイトルと発表者のお名前を示します)。最初の1題は第3回勝本賞授賞者による研究紹介を兼ねた発表、次の1題は昨年インド・ゴアで開催されたアジア菌学会議(AMC2015)に、関東支部の援助を受けて参加した若手研究者による、会議参加報告を兼ねた発表でした。
1)珪藻寄生性ツボカビの分類学的研究–環境配列のみで認識された新規クレードの実態解明–(筑波大学 瀬戸健介氏)、2)オカダンゴムシのクモタケの分生子拡散の可能性について(AMC2015参加報告)(千葉科学大学 小林一樹氏)、3)菅平高原の地衣内生菌相について(筑波大学 升本宙氏)、4)ベゴニアの葉腐症状と葉枯症状の病原菌について(玉川大学 草野薫氏)、5)分生子から発生する頂部付属糸は分類上意味はあるのか? (玉川大学 野澤俊介氏)、6)殺線虫活性を有する真菌の探索とその分類学的評価 (玉川大学 伊沢貴文氏)以上。
講演会に先立って行われた年次総会では、会員の皆様にご満足頂けるような平成28年度企画の数々が紹介されました。本年度の企画も奮ってご参加いただければと思います。
続いて第3回目となる故・勝本謙先生を記念した勝本賞の授賞式も執り行われました。安藤勝彦勝本賞選考委員長より、第3回勝本賞受賞者として瀬戸健介氏の選出が報告されました。授賞式では瀬戸氏へ小野会長より賞状と楯が、また勝本由紀様(勝本先生ご令嬢)より賞金が贈られました。
懇親会は大会会場に隣接した朔風館で開かれ、2時間にわたり会員同士の活発な交流が行われました。
今大会は58名のご参加を賜り、盛会のうちに終了致しました。今後も、菌類に関する多様な話題・研究成果を発表し、情報を交換する場として関東支部年次大会をご活用いただけましたら幸いです。
最後に、ご参加いただいた皆様、演者の皆様、会場準備にご協力いただいた皆様に深く御礼申し上げます。
年次大会担当幹事 石崎 孝之