第27回 ワークショップ報告 「ビョウタケ目の採集・培養と観察

日時: 2013年6月27日(木)~6月29日(土)
場所: 筑波大学菅平高原実験センター(長野県)
講師: 細矢 剛 先生 (国立科学博物館)

 本年度の菌学ワークショップは、6月27日から29日に、筑波大学菅平高原実験センターにおいて、国立科学博物館の細矢 剛先生を講師にお迎えし開催されました。参加者数が26人と比較的多かったことに加え、元気の良い学生の参加があったこともり活気のあるワークショップとなりました。今回のワークショップは、ビョウタケ目の分類の変遷から近年の分類学的動向、採集法・観察法のポイントまで解説していただきました。

 初日は、ビョウタケ目の分類の変遷と近年の分子系統解析の成果について講義が行われ、ビョウタケ目の形態的特徴、その特徴に基づく分類学的位置づけの変遷や近年の分子系統解析結果に基づく大きな変革について解説いただきました。2日目は、分子系統関係と形態的特徴や生態的特徴との関連性について、近縁の菌群の情報も交えながら、さらに詳しい講義をしていただきました。また、ビョウタケ目の採集法・観察のポイントについても詳しく解説いただき、実際に半日センター内で子実体の採集を行いました。午後からは実験室に戻り、実体顕微鏡と生物顕微鏡を用い、採集した子実体や事前に用意された培養菌株を使い形態観察を行いました。3日目は、引き続き形態観察を行いました。

 写真で見るとここまで小さな子実体だとは思っていなかったので、実際にそれを野外で見つけることができて、感激しました。こんな小さな子実体の切片が作れるのだろうかと心配でしたが、それなりに観察できたかと思います。細矢先生の丁寧な解説と話術のおかげで、講義も実習もあっという間に時間が過ぎ、充実したワークショップになったと思います。大型菌類や植物寄生菌の採集とも違い、糸状菌の観察法とも違ったところがあり、非常に新鮮でした。

 詳細は未定ですが、来年は近年発展の著しい分子生態学的な研究手法に関するワークショップを企画したいと考えております。多くの方々の参加を期待しております。

企画幹事 広瀬 大
文責 山岡裕一