第12回 ワークショップ報告 
菌類の分子系統学の基礎手法

日時: 1998年8月20日(木)-22日(土)
場所: 帝京大学医真菌研究センター(東京都八王子市)
講師: 西田 洋巳 先生 (東京大学分子細胞生物学研究所)
参加: 52名

 8月20日より22日の3日間、帝京大学医真菌研究センターにおいて上記のワークショップが行われました。対象を将来、菌類の分子系統学的解析をはじめられる方としたところ、43名の参加者、講師や菌学会幹事を含めると50名を超える参加でした。菌体からPCRにより特定領域を増幅し、その塩基配列を決定するまでの様子を実習を含めて行いました。菌体サンプルは持ち込みを認め、そうされない方はこちらから S. cerevisiae を用意しました。

 PCRでは核小サブユニットリボソームRNA領域を増幅ターゲットとしました。菌体からのDNAの抽出は菌体を水に懸濁し、それをオートクレーブで熱処理する方法をとり、極めて簡便な方法といえます。コントロールである S. cerevisiae で増幅したのみならず、各人の持ち込まれたサンプルにおいても目的領域の増幅が見られました。当然のことながら、本方法では増幅できない菌体もありました。

 実習の合間に講義が盛り込まれ、西田の他に帝京大の槙村浩一先生、パーキンエルマーの浅田真二さんと宋碩林さんに講義して頂きました。また、時間の都合で参加者の皆さんのPCR産物をシークエンスまでもっていけなかったため、そこはパーキンエルマーの方にデモンストレーションの形でやってもらいました。

 このようなワークショップは今回がはじめてということで、いろいろ慣れない点がありましたが、盛況のうちに終了したと思います。参加された方々が今後有意義に分子系統学的手法を菌類学に適用されることを切に願います。

 最後になりましたが、ご協力頂いた帝京大学医真菌研究センターの関係者の皆様とパーキンエルマーの皆様に感謝いたします。

(文責:西田洋巳 企画担当幹事)