日時:2017年10月21日(土)~22日(日)
場所:長野県南佐久郡南牧村 野辺山高原
観察会・鑑定会会場:筑波大学山岳科学センター八ヶ岳演習林
宿泊・スライド発表会会場:リゾートイン 黒岩荘
参加人数:20名
2017年10月21日~22日に,長野県南牧村の野辺山高原にて第31回菌類観察会を開催しました。当日は台風が本州に近づく中,あいにくの雨模様となりましたが,晩秋の野辺山高原に各地から幅広い年齢層の参加者が集まりました。
初日はリゾートイン 黒岩荘にて受付とオリエンテーションを行い,夕食をとった後,スライド発表会と懇親会が行われました。まず,アメリカより来日中で,今回の観察会に参加されたUSDA Forest Service, Northern Research StationのMichael A. Castellano博士より,”Truffle Science”と題した研究内容に関する話題提供がなされました。Castellano博士は地下生菌の分類・進化・生態に関する研究で世界的に著名な研究者です。今回は,近年新たに記載された種を中心に,なかなか目にする機会のない貴重な地下生菌の写真を紹介いただき,その系統分類や生態について解説していただきました。特に,話題提供の終盤で,”Truffling: Is it an Art or a Science?”と語りかけられたのが印象的でした。その後,千葉科学大学危機管理学部の学生3名による卒業研究の内容紹介が行われました。スライド発表会では活発な質疑応答や意見交換がなされ,その後続けて懇親会となり,参加者同士での情報交換が夜遅くまで続きました。
翌日の観察会は,当初は筑波大学山岳科学センターの川上演習林で行う予定でしたが,降り続く雨のため安全を考慮し,鑑定会場に隣接した八ヶ岳演習林の実験棟周辺にて実施しました。実験棟周辺では,主にカラマツ,アカマツ,ストローブマツ,ウラジロモミなどが植栽された針葉樹林や,ミズナラ,カンバ類などの落葉広葉樹林にて菌類の観察と採集を行いました。ここでは,キヌメリガサ,ベニテングタケ,ワタゲホコリタケ,コチャダイゴケや,地下生菌のスクレロガステル属の一種などが観察できました。
そして,観察会後には八ヶ岳演習林の実験棟にて鑑定会が行われました。台風が近づく中の悪天候ではあったものの,合計39点の菌類が同定でき,鑑定会場には参加者が採集した標本が所せましと並びました。鑑定会では,参加者は熱心に写真撮影,形態観察や意見交換を行っていました。今年度は雨天での観察会開催となりましたが,参加者の皆様のご協力のおかげで事故やトラブルもなく,安全に進行することができました。
最後になりましたが,今回の観察会開催に当たり,筑波大学山岳科学センター八ヶ岳演習林の藤岡正博准教授ならびに同演習林の皆様には,構内での菌類採集をご許可いただいた上,鑑定会場の確保等で大変お世話になりました。ここに記して厚く御礼申し上げます。
第31回菌類観察会 採集標本リスト