日時:2014年10月11日(土)~12日(日)
観察会会場:茨城県北茨城市 花園渓谷周辺
宿泊・鑑定会会場:公共の宿 マウントあかね
参加人数:32名(宿泊22名+当日参加10名)
平成26年10月11日~12日に、茨城県北部に位置する、北茨城市の花園渓谷周辺にて第28回菌類観察会を開催しました。台風の影響が心配されましたが、当日はおだやかな秋の日和となり、各地から幅広い年齢層の参加者が集まりました。宿泊場所は太平洋を一望する高台にあり、宿舎周辺の芝生や雑木林にも、多様な菌類が発生していました。
懇親会では秋の味覚を堪能した後、講演会・スライド発表会に移りました。まず、小野義隆関東支部会長(茨城大学教育学部)より、「茨城県北の植物」と題して講演をいただきました。小野先生には今回の観察会会場である花園渓谷をはじめ、茨城県北部の植生の特徴について、豊富な写真とともに解説していただきました。その後、2名の会員が日頃の活動成果を発表しました。奥田徹先生は、ドイツのきのこ事情、特にドイツで好まれている食用きのこについて、鮮やかな写真とともに紹介されました。千葉科学大学の小林一樹氏は、ご自身の卒業研究の課題について発表されました。クモタケの生態や系統関係について、参加者からも熱心に質問が飛び交いました。スライド発表会の後は二次会へとなだれ込み、菌類談義で夜は更けていきました。
翌日はおだやかな天候のもと、観察会を行いました。観察会は花園渓谷からさらに奥へと入った場所にある、亀谷地湿原周辺と栄蔵室(えいぞうむろ、標高882m)の登山道周辺で行いました。亀谷地湿原は標高800mほどの場所にある高層湿原で、ミズゴケ類やミズバショウなどが群生しています。周囲はコナラ、ミズナラ、ブナ、ヤナギ類などからなる混交林で、アカヤマタケ属の一種、アシボソクリタケ、アカカバイロタケなどの菌類が観察できました。また、栄蔵室の登山道周辺にはコナラ、ミズナラ、イヌブナ、シデ類からなる混交林が広がり、チャナメツムタケ、シメジ属の一種、フウセンタケ属の一種などが多く観察されました。冬虫夏草の一種ミヤマタンポタケも採集されました。観察会の後、昼過ぎからは宿舎の研修室にて鑑定会が行われました。76種の菌類を採集することができ、鑑定会場には参加者が採集した標本が一面に並びました。鑑定会は午後遅くまで続き、参加者は熱心に写真撮影や形態観察を行っていました。
なお、今回の観察会開催に当たり、公共の宿 マウントあかねの皆様には、観察地への移動や鑑定会場の確保等で大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。
第28回菌類観察会 採集標本リスト