日時: 2015年4月18日 13:00-19:30
場所: 東京農業大学世田谷キャンパス アカデミアセンター横井講堂
参加人数: 64名
今回の年次大会は、東京農業大学世田谷キャンパスのアカデミアセンターで開催されました。横井講堂の木の温もりと香りにつつまれながら、例年どおり年次総会、話題提供講演および一般講演が行われました。
話題提供講演では、中山剛先生(筑波大学生命環境系)に「真核生物の系統的多様性と菌類」という演題でご講演いただきました。近年、分類体系の再編が著しい真核生物の各分類群を、最新の知見を盛り込みつつ丁寧に解説していただきました。また、狭義の菌類やかつて菌類に分類されていた生物群の系統的位置についてもご紹介くださいました。参加された皆様にとっておそらく耳慣れない分類群名が多数出てきたため、全容の理解は大変だったかもしれませんが、先生の美しいスライドの数々を拝見するだけでも、真核生物分類体系の奥深い世界を認識する機会となったのではないでしょうか。
一般講演では以下の6題の発表がありました(タイトルと発表者のお名前を示します)。最初の4題は関東支部の援助を受けて昨年開催されました第10回国際菌学会議(IMC 10)に参加された若手研究者による、会議参加報告を兼ねた発表でした。
1)Grosmannia piceiperda complexの分子系統関係(IMC10参加報告)(筑波大学 安藤裕萌)、2)ネジバナに複数種のEpulorhiza属菌がラン型菌根を形成していた(IMC10参加報告)(筑波大学 藤森祥平)、3)ヤエムグラのさび病菌感染個体と非感染個体における内生菌群集構造(IMC10参加報告)(筑波大学 三輪恵実)、4)ヤブツバキ落葉上リティズマ科菌類の地理的分布と影響要因(IMC10参加報告)(筑波大学 松倉君予)、5)黄色いニカワツノタケは角状のシロキクラゲ類である(筑波大学菅平高原実験センター 山田宗樹)、6)日本新産ハルペラ目菌類Ejectosporus sp.について(森林総合研究所 佐藤大樹)以上。
講演会に先立って行われた年次総会では、さらに会員の皆様にご満足頂けるような平成27年度企画の数々が紹介されました。また、これまでのオークションの売上金を活用したアジア菌学会議(10月、ゴア)へ参加する若手研究者への渡航援助の応募結果が示され、大学院修士課程の学生1名の紹介も行われました。有意義な会議参加となることを期待します。
総会では第2回目となる故・勝本謙先生を記念した勝本賞の授賞式も執り行われました。安藤勝彦勝本賞選考委員長より第2回勝本賞受賞者として柴田尚氏の選出が報告されました。授賞式では柴田氏へ小野会長より賞状と楯が贈られました。
懇親会では協和発酵キリン株式会社様ほかより寄贈していただいた書籍のオークションが開催され、参加した皆様から活発な応札をいただきました。売上は今後開催される国際学会へ参加する若手研究者への渡航費援助に使われます。
今大会は64名のご参加を賜り、盛会となりました。今後も、菌類に関する多様な話題・研究成果を発表し、情報を交換する場として関東支部年次大会をご活用いただけましたら幸いです。
最後に、ご参加いただいた皆様、演者の皆様、会場準備にご協力いただいた皆様に深く御礼申し上げます。
年次大会担当幹事 稲葉 重樹