日時: 2014年4月19日 13:00-19:30
場所: 東京農業大学世田谷キャンパス1号館231教室
参加人数: 78名
今大会の話題提供講演では、「水辺の菌類」と題して、山口薫先生(製品評価技術基盤機構)による「水辺の芸術家、半水生不完全菌類」、竹橋誠司先生(北方菌類フォーラム)による「砂浜は菌類のゆりかご」という2題の講演がありました。両先生からは、淡水環境に生殖や胞子分散を依存する半水生不完全菌類と、河川や海によって形成される砂浜に生息する大型の担子菌類・子嚢菌類といったそれぞれ切り口の異なるテーマで水辺の菌類のご紹介をいただきました。参加された皆様にとって菌類の生態的多様性を再認識する機会となり、またご講演をきっかけに水辺の菌類についての研究・調査を志す方が現れましたら幸いです。
一般講演では以下の6題の発表がありました(タイトルと発表者のお名前を示します)。最初の2題は関東支部の援助を受けて昨年開催されましたアジア国際菌学会議(AMC 2013)に参加された若手研究者による、会議参加報告を兼ねた発表でした。1)亜高山帯針葉樹の樹皮下キクイムシと関係する日本産Grosmannia piceiperda complexの分子系統(AMC2013参加報告)(筑波大学 安藤 裕萌)、2)房総半島におけるヤブツバキ落葉上リティズマ科菌類の定着パターン(AMC2013参加報告)(筑波大学 松倉 君予)、3)珪藻に付着する淡水性真菌類のおどろくべき多様性(東邦大学 石田 聖二)、4)ネジバナの菌根菌Epulorhiza repensで見られたrDNA ITS領域塩基配列の多型について(筑波大学 藤森 祥平)、5)ハネカ科幼虫から得られたレゲリオミケス科の未記載種(筑波大学菅平高原実験センター 陶山 舞)、6)吸水ポリマーの利用とToyS法によるスマホ顕微鏡写真撮影(農業生物資源研究所 佐藤 豊三)以上。
講演会に先立って行われた年次総会では、さらに会員の皆様にご満足頂けるような平成26年度企画の数々が紹介されました。また、これまでのオークションの売上金を活用した第10回国際菌学会議(8月、バンコク)へ参加する若手研究者への渡航援助の応募結果が示され、大学院博士課程の学生4名の紹介も行われました。有意義な会議参加となることを期待します。
総会では故・勝本謙先生を記念した勝本賞の授賞式も執り行われました。安藤勝彦勝本賞選考委員長より賞の設立経緯と趣旨について説明があり、第1回勝本賞受賞団体として「植物病原菌類談話会」の選出が報告されました。授賞式では受賞団体世話人代表の青木孝之博士へ小野会長より賞状と楯が、勝本先生の御息女の勝本由紀氏より副賞が贈られました。
懇親会では天野典英氏(サントリービジネスエキスパート)より寄贈していただいた書籍等のオークションが開催され、参加した皆様から活発な応札をいただきました。売上は今後開催される国際学会へ参加する若手研究者への渡航費援助に使われます。
今大会は78名のご参加を賜り、例年以上の盛会となりました。今後も、菌類に関する多様な話題・研究成果を発表し、情報を交換する場として関東支部年次大会をご活用いただけましたら幸いです。
最後に、ご参加いただいた皆様、演者の皆様、会場準備にご協力いただいた皆様に深く御礼申し上げます。
年次大会担当幹事 稲葉 重樹